Voice…14

はい、二日連続の更新ですが、Voiceシリーズのみです…。



「…………」

左足から血が溢れ出す。ベレッタが放った銃弾は、リザの左足を撃ち抜いたのだ。

「一度に殺さないわ。死の恐怖をあじわってもらうもの…」

「…………」

動くに動けない…。左足に激痛がはしり、痛みを堪えるだけで精一杯だった。

「泣き叫ぶくらいしたらどう? あぁ、声出なかったわねぇ…」

「…………」

「次はどの部分が良い? 右足? 腕? 肩? どこにする」

「…………」
イカレてるわ…。

「……白けるわね。いいわ、一つ昔話をしましょうか?」

「…………」

「ふふ…まだ幼い頃、私は父に連れられ、豪華なレストランに来ていたわ。そこで待っていた、小さな男の子とご両親。父は深々と会釈して、にこやかな笑みを浮かべ、私に話かけてきたの」


――ジェニー、この男の子は、お前の婚約者のロイ・マスタング君だよ…


「――――っ!?」

リザの大きなヘーゼルの瞳を見開いた。次第に溢れ出す涙…。
それを見て楽しそうに、ベレッタは話続けた。

「私の本当の名前は…ジェニファー・ライズ…イシュヴァール人の混血…。といっても、父方の祖母と母方の祖父がそうってだけで、私自身、それは受け継いでいないわ…」

「…………」
イシュヴァール人…

「でもね、あの人…ロイ・マスタングは裏切った。錬金術の修業を始めた頃に、婚約を解約したのよっ…」

「…………」

「貴女が私からロイを奪ったのよっ!! 貴女さえいなければ、ロイは私だけのものだったのよ!?」

「…………」
違う…。大佐はそんな人じゃない…

ゆるゆると首を降るリザ。ベレッタはキッと睨みつけると、リザの元まで歩いて立ち止まった。

途端に渇いた音が響いた。

「…………っ」

「貴女に何がわかるのよっ!? ロイの愛情を一心に受けて、汚されても愛され続けて…私の気持ち、わかってるの!?」

「…………」
大佐は…何か理由があって、貴女から離れたと…

「…………」

無言のまま、ベレッタは包丁をリザの左足に突き刺した。

「――――っ!!」

傷口をえぐるように、包丁を突き刺す。

「痛いわね…痛いわ。でもね、私はこれ以上痛かったわ…」

「…………」
裏切りが…? 傷付いた心が?

「ふふ…そういえば、貴女の手。銃が握れないのよね…それも、一種の催眠術。錬金術とは違うものよ? 国家錬金術師でも、簡単には解けない…術者でないと無理よ…」

肩を震わせるベレッタは、声高々に笑い出す。 だが、リザは銃が握れないのは、自身の精神的な問題だとわかっていた。

何をしても屈する事なく、向かってくるような意志の強い瞳…。
ベレッタは、そのリザの全てが、ロイを魅了している事は知っていた。 自身には持っていない全てを彼女は持っている。

「気に入らないわ。ここで死になさい…」

頭に銃口が向けられても、鋭い瞳で見つめている。 先程までとは…いや、初めて見た時のリザの眼光だった。

死を受け入れた? 違う…恐れていない。

「死ねぇぇぇぇっ!!」

「ベレッタ、やめろっ!!」

引き金を引こうとしたベレッタを制止したのは、見た事のない男…。
いや、何処かで……

「この女は、まだ使い道がある。その前にもう一度、ヤラせろ」

「――――っ!!」
この男…あの時のっ

思い出したその刹那、リザの身体は震え出した。 恐いと…身体が拒絶している。

「…………」
大佐は、来てくれない。 助けに来てくれるはず、ないわ…。

ヘーゼルの瞳から溢れる涙は、頬を伝い床に落ちた。涙は止まる事なく、涙の染みはどんどん面積を広めていく。

「声、まだ出ねぇのか…?」

「そうよ。かなり強力な薬だったし」

「奴が来ても、時間稼いでくれよ」

「わかったわ…ごゆっくり」

部屋から出ていくベレッタは、勝ち誇った表情をリザに向けた。
呆然とするリザを、男は構う事なくベットに運んだ。







アトガキ
ベレッタ黒っ!! 何だか、セリフばっかりでごめんなさい…。
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